ガンは熱に弱いという話が巨大にふくれあがり、なんでもいいからあっためさえすればガンは消えていくのだというおそるべき愚説がネットをひとり歩きしていて、たいへん危険です。それをモロに信じこんで、ご自分のガンをせっせと育てている方がたいへん多いように見受けられます。
カイロや湯たんぽ、アンカ、お風呂などのようなあからさまに中途はんぱな温熱はもちろんのことですが、どういうハイパーな機器による高温熱であろうと、患者さんを焼き○しでもしないかぎり、温熱でガン細胞を完全に死滅させることはできないでしょう。ナントカ波を浴びて温熱を得る式のものもおなじです。
ここちよい温熱のなか、循環のよくなった血流にのってどんどん運ばれてくる栄養をさかんにとりこんで、ガン細胞は猛烈に増殖、成長します。
当院ではお風呂でさえもみじかめに、カラスの行水くらいにしてくださいとおすすめしているくらいです。
当院での施術を受けると、施術するこちらのエネルギーが患者さんの身体に入っていくせいか、よくアッタマル~と言われますが、当院ではそうした温熱によってガンを治してるわけでは、もちろんありません。
患者さんご自身の身体がガンとたたかって自然に発熱するのは免疫があがってきているあかしであり大歓迎です。
→ 治癒反応
が、そうならないからといって外部から熱をくわえてしまってはまったくの逆効果。
そこのところをカンちがいしないでくださいね。
昔ながらのひどいカンちがい
過去、ヒポクラテスはじめ何人もの医学者たちが、なんらかの病気によって高熱を発したガン患者のガンが消滅したと記述しています。現代でもマラリアやインフルエンザにかかり、高熱を発した患者さんのガンが治ったとの記述がネット上で散見されます。それらのできごと自体はまずまちがいのないことでしょう。
そして、その事象を目前にした医学者たちが大いなるカンちがいをしてきたのも明白なことでしょう。あるいは現在も多くの人々がカンちがいし続けているのもあきらかです。
つまり、医学者たちは熱によってガンが消滅したと思いこんだわけですが、真理探究の徒である彼らが、それをきっかけに、温熱によってガンが治ることを証明しようとその種の実験的治療をさんざんやっただろうことは、まずまちがいないことと思われます。
いや、やったに決まってます。ああいう真理探究の徒というやつはいつでもまっさきに実験したがり、すぐに自分の発見だといって名を上げたがりますから。
そして、その結果はどうだったのでしょうか・・?
おそらくは発表するに値しない、死屍累々的な無残な結果しか得られなかったことでしょう。
その証拠に、いくらネットをほじくってみても、昔の書物をひっくり返してみても、ヒポクラテスやその後輩たちが温熱によってガン患者をかたっぱしから治しはじめたという記述には、いまだかつてお目にかかったことがありませんから。
おそらくは自分たちのしでかしたてひどい失敗に、思わず保身のため口をつぐんでしまったものと思われます。
いったいなぜそういうまちがいがおきてしまったのでしょうか。
それは高熱というものに目をうばわれた医学者たちが、患者さんの身体のなかでおきたことについて、正確に認識できなかったからにほかなりません。
現代の温熱療法推進論者たちも、おなじカンちがいをくり返しつづけています。
患者さんの身体のなかでは、ガンでない他の病気との激しいたたかいがおこなわれ、それによって高熱が出ただけです。
そのとき、病に打ち勝つために免疫が急激に高まり、それによって当該の病を撃退し、ついでにガンをも打倒してしまったにすぎないのだろうと思われます。
高熱は身体が病と戦う過程で自らを燃焼させることによってできた単なる副産物でしょう。
この事象をヒントにして、ガン患者の身体に高熱を出させる病の病原菌あるいはウィルスを注入し、高熱を出させてガンを治そうとした医者もいたようですが、このほうがまだしも理にかなった治療法です。
もっとも、常識的には狂気とでも非難を浴びそうな療法ですから、結局は圧力がかかってやめさせられたことでしょうが・・
実例
「○○温熱療法」と銘うった療法で治療を受け末期症状におちいった患者さんを何人も診てきましたが、いずれも温熱によってガンに勢いがつきすぎており、もうほとんど打つ手はないように見えました。そうした、温熱によって窮地に立たされてしまった方々の実例をいくつかお話しします。
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おひとりは 肝臓ガン が 骨転移 した方でした。
4ヶ月ほど当院に通い、骨転移のほうはわりとはやいうちによくなってきて痛みもすっかりなくなり、あとは小さくなった原発の肝臓だけ攻めればいいという状態にもちこんだわけなのですが、その段階でその患者さん、急に当院での治療をやめたいと言い出しました。
時間がかかって通いきれないので、近所にできた酵素風呂というのに通って治しますとのこと。
もちろん、当院ではこちらでの施術を強制するようなことはいたしませんので、そうですか、それならどうぞとふたつ返事で送り出したわけです。
ことに、そのころは温熱とガンの関係についてはよくわかっておらず、患者さんが効く効くと意気ごんでいることだし、きっと効くのだろう、体感でそれがわかったのだろうと漠然と思っていましたから、なにも抵抗はありませんでした。いまなら、それ非常にあぶないですよと警告くらいはすることでしょうが・・
「気持ちいいんですよ。あったかくてよく汗をかきますし、デトックスできると思います」
とそんなふうにおっしゃってました。
そのときは、ホホウそんなものがあるのか、たしかに気持ちよさそう・・と思っただけでしたが、その3ヶ月ほどのちのこと、わたしはその方の友人(この人も当院で施術を受けていた人)から、その方が亡くなったことを知りました。
わたしはその事実の進行のあまりの速さに、「えっ、ホント!?」と思わずポカンと口をあけてしまったものでした。
いまにして思えば結局のところ、患者さんが気持ちいいと感じるような温度では、ガンはもっと気持ちよく、ぬくぬくと成長できたのでしょう。肝臓に残っていたガンが、そのほどよい温熱によって爆発的に増大したものと思われます。
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また別の方ですが、
それほど大きくない乳ガンでした。
全摘出を受け、さいごにそのあとの再発防止 をどうするかが焦点になりました。
わたしはもちろん施術ですべてやり終えるつもりでおりましたが、彼女はご自分の住む県内にあるハイパーサーミアの病院で治療を受けるほうを選びました。近くで通いやすいからと言ってました。
ネットのいたるところに出ている有名な治療でもあり、近所だからひんぱんに受けられるのもいいかもしれないと思い、「よかったですね、いい病院があって」といって送り出したものでした。
そして、もうその方の件は終わったもの、つまり完全に治ったものと思ってました。
ところが、一年ほどたってから、その方から急に電話があり、
「お元気にやってらっしゃいますか?」
と軽い調子でお尋ねしたところ、
「ぜんぜん元気じゃないんですよ。たいへんなことになってるんです」
とあせった声。
いそいでどうしたのかと問い返しますと、再発したガンが肺に転移して、もう息がくるしくなってきているとのこと。
大至急来ていただきましたが、診れば胸の皮膚にまでぶつぶつと転移がひろがっており、さらにはすでに骨盤にも転移して痛みすら出ていました。
彼女と同時期に同じように乳ガンの切除手術を受け、そのあと当院施術で再発防止をはかった方々が、何人ももうほとんど卒業の状態(メンテナンス施術を受けつづけている方もふくめて)にいたっているのにくらべると、天と地ほどのとんでもないひどい違いがあり、その落差に愕然としてしまいました。
すぐその治療はおやめなさいとつよくいいました。彼女がその1年、その治療だけを受けてやってきたことを知っており、したがってその治療が再発防止にはなんの役にもたっておらず、むしろ再発悪化させたことが明らかだったからです。
しかし、たった1年のあいだにもうすでに末期ともいえる状態に追いこまれているにもかかわらず、彼女はなかなかやめる気にはなれないようでした。加入しているガン保険の契約で、その治療を受けていると保険金がおりるからというのがその理由でした。
いのちがほしいのかお金がほしいのかという、かんたんな二択になるわけですが、あえてお金を求めるという心境がわたしにはまったく理解できずにいらだちました。
医師だとか博士だとかいうケンイの衣をなにも着ていないわたしが言っているだけなので、よく聞こえなかったのかもしれません。
どうやら、再発防止治療をどこで受けるかについて考えていた最初のころからすでに、健康保険がきくうえさらには自己加入の保険のほうから保険金までおりるということで、その治療を選んでいたようでした。わたしの施術ではもちろん健保もききませんし、保険金もおりませんから。
ほどなく大きな病院で診察を受け、余命1ヶ月~1ヵ月半との宣告を受けたそうです。
片肺はレントゲンで真っ白、つまり 胸水 に水没するような状態であり、もうあっというまに酸素を吸入しなければならないくらいになっていました。さらにはもういっぽうの肺にも水がたまりはじめているとのこと。
こうして、入院したまま動くこともできず、結局わたしの治療室に来ることもできなくなってしまいました。
そののちしばらくして、奇しくもまったくおなじガンでその治療を受けて再発防止したいという方があらわれたため、こんどはつよく警告いたしました。上記の方の実例をあげて。
しかし、1、2度受診したきりで、それ以来いらっしゃってません。どうやらまたも信用していただけなかったようです。なにせケンイがないものですから・・
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さらにまた別の方、
腹膜播種 でしたが、外からさわってもわかるほど、お腹にコリンコリンにこりかたまった大きなものでした。そんな腹膜播種ははじめて。
お話をうかがってみると、ひとにすすめられてコテ型の温熱治療器を買い、日々せっせと患部にあてているとのこと。
「ダメダメ、そんなのやっちゃ。どんどん大きくなってるでしょ?いったいなんでこんなになるまでやっちゃったの!?」
思わず強い声を出し、すぐそれおやめなさいと、叱るように言わざるを得ませんでした。
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あるいは、水素温熱風呂というのにくり返し入っているうちに、小さかった歯肉ガンの転移がどんどんひろがり、顔の下半分がガンだらけになってしまった方がいらっしゃいました。
そうやって増悪していく間、幾度も大丈夫なんですかと尋ねられたそうですが、
「大丈夫、治ってきてます。内部のガンが浮いて外に出てきているのです」
とのご返事だったとか。
どんどんひどくなっていくので、さすがに怪しいと訝しんで、最終手段として当院へ来られたわけです。
当院初診の折にはすでに、顔の下半分のほか、喉にまで転移してそれぞれが破け、液が垂れるような状況でした。頬の肉はもうほとんど全体がガン化しており、くり返し施術するとその頬が融け、穴は口の中にまで貫通していく勢いでしたが、やがて亡くなりました・・
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このほか、患部にカイロを貼りつけたりアンカを押しつけたりしていて亡くなった方も一人や二人ではなく、いわゆる温熱療法によってガンの自家増悪にはげんでしまった痛い方々について全部書き出そうとするとキリなく書かねばならなくなって、たいへん気が重く、もうかんべんしていただきます。
このページはそうした方々の墓標と思ってください。
温熱は、健康なひとには健康を増進させるよきものですが、ガン持ちの方にとってはガンをぬくぬくと増大させる悪いものです。
→ ガン、温熱療法の危険性について
※ なお、ガンにたいする温熱療法については、各療法によって、ガンのある面については効くが〇〇の面については禁忌だといった研究などもあるようで、そのあたりは当院では把握しきれませんので、最終的に患者さんご自身でよく確認して、選択してください。
※ また、「〇〇療法は特別な温熱療法だから、害はないと書いてありますが、大丈夫でしょうか」などとお問い合わせしてくる方がいらっしゃいますが、当院では現在、温熱療法の実例になりそうな方はひとりも通院しておらず、したがってそうした新たな療法にたいする知識もないため、お答えのしようもありません。
やはり、ご自分でよくよく考えて取捨選択していってください。
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と、このページを書いてからだいぶ年月がたちましたが、あいかわらず温熱でご自分を窮地に追いこむひとがいるようです。
懲りない人がまたひとりやって来られました。
熱いお風呂につかるという温熱療法を2ヶ月間やっただけで、 2センチ程度だった肝臓ガンが2倍以上、5センチ近くにふくれてしまい、あまりのことにびっくりして、ネットをいろいろ調べた結果、当院のホームページにたどり着いたという方でした。
大きくなっただけではなくて、当初患部がまるでケガでもしたかのように熱をもち、ズキズキといかにも傷んで腫れているような感じだったそうえです。逆にガンのほうからすれば、いかにも元気に活動しているといった感じだったでしょうか。
そんなふうになってしまうと、なかなかその勢いをとめるのはむずかしく、当院で施術しているうちにもいったんは大きくなりました。
まあなんとか3ヶ月後の検査ではもとに戻り、くい止めることはできたかと思いますが、そうなるまでは予断を許さない状況がしばらく続きました。
このように、ガンにたいする温熱療法というのは、ダイレクトにご自分の命に関わってくる案件ですので、くれぐれもご注意くださいね。
45°Cぐらいに体を熱すればガンは消えるといった愚説を信じ、真っ赤な顔をして無理に熱いお風呂につかっている人の姿を想像すると、おかしいような、それでいてその先どうなるかを考えると悲しいような、そんな気持ちです。
すでに書いてあるとおり、お風呂だけでなく、カイロや湯たんぽ、アンカなどでガン患部を絶対に加熱しないでください。
酵素風呂なども、健康なひとにとってはとても気持ちよく、より健康になりそうな気がするものですが、ガンを患っている方にとっては、増悪をまねくものでしかありません。
では陶板浴はどうなのかとよく聞かれますが、陶板浴の場合はきついマイナスイオンの部屋に入ることが前提になっているようですので、やってみるぶんには、まあよろしいのではないかと思います。
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