まだ3人くらいしか経験ありませんけど、パニック障害の方を施術していつも感じるのは、頭というか、脳のなかのどこか一点がつまっているような感触です。
血液とかリンパ液とかがうっ滞しているといえばそうかもしれませんし、神経を流れる電流がせきとめられて一か所でコンデンスしているともいえそうです。なにかはわかりませんが、とにかく1か所にたまって、きつめにふくれているといった印象です。
ネットをあちこちひっくり返して検索してみると、「脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)のバランスの乱れ」というのが原因らしいと書いてあり、なんとなく合点がいくところがありました。
セロトニンとノルアドレナリン
つまり、セロトニンとノルアドレナリンのバランスが悪いというわけです。セロトニンは、ほかの脳内神経伝達物質の情報をコントロールし、精神状態を安定させる働きをし、ノルアドレナリンは、不安や恐怖感を引き起こして、血圧や心拍数を上げる働きをします。
これらの脳内ホルモンの連携が悪くなって、ほどよい状態を保つことができなくなり、私が施術の際いつも感じる血液だか電流だかがうっ滞しているような状態におちいってしまうのではないかと思われます。
もっとも、原因が何であろうが、私の関知するところではありません。それを知ったところでパニック障害はよくなりません。お医者さんのように、薬でセロトニンとノルアドレナリンをコントロールすれば抑えられるのでしょうが、一時的な解決にしかならないように思われます。
寛解までもっていくには、きっと何年かの間、お薬を何度も飲まなければならないでしょう。
パニック発作の症状
患者さんから話を聞き、ネットでも調べて知ったことを記せば以下のようになります。パニック障害はやっかいな病気で、突然、何かが引き金になって、不安感がわき、手足がしびれだし、脈も速くなり、また身体のあちこちが痛くなってきます。通常は硬直しても倒れませんが、なかにはほんとうに倒れてしまうひともいるようです。おさまるまでお腹をかかえた姿勢でうずくまって待つ、あるいは、何かにつかまって嵐が過ぎ去るのを待つようにじっとしているほかありません。
あまりに心肺がつらくて、死んでしまうのではないかとさえ思うそうです。
パニック障害とは、こういうパニック発作がしばしば起きる状態のことです。
予期不安と広場恐怖
いちど電車やバスの車内で発作を起こしたために、また発作が起きたらどうしようという予期不安がつのり、乗り物を避けるようになったり、あるいはデパートで発作を起こし、デパートに買い物に行けなくなる症状の人もいます。また、列にならぶだけでも耐えられないと思う場合もあるそうです。
つまり、「広場恐怖」です。広場というのは、人が大勢いる場所といった意味で、実際には患者さんごとに恐怖感をもつ場所は異なります。
いずれにせよ、他のひとにとっては何のへんてつもないものごとから恐怖のタネを見つけ、「ああ、また発作が起きそうだ!大勢の人の前で起きたらどうしよう、みっともない」といった恐怖にかられるというわけです。
緊急さしせまった状況下にある、たとえば乗り物に乗って遠路出張しなければならなくなったが、発作を起こすのではないかという不安が強く、大至急どうしてもその不安を除去しなければならないといった方にはぜひとも施術を受けていただきたいところです。
施術例>
まさにそうしたことでせっぱつまっていらした方です。
メールによれば、
「現在、パニック障害の症状で投薬治療を受けています。
一年前に発症し、薬で症状は落ち着いていたのですが、最近再発してしまいました。
薬は継続していますが、何か心配なこと(長時間飛行機に乗る、仕事でプレッシャーが掛かるなど)があると激しい不安に襲われ、気持ちが安定しません。
ひどい時はしばらく行動が出来なくなってしまいます。
本日もその症状が出ていまして、可能であれば今日夕方以降で診て頂くことは可能でしょうか?」
とのこと。
飛行機に乗って東南アジアへ出張しなければならない状況で、飛行機に乗るのが大変不安という状況でしたが、 いちど施術して送り出したところ、とりあえず1週間の間に往復してきて何ともなかったそうです。
また起きるのではないかという予期不安がゼロだったわけではなかったようですが、それほどたいした脅迫観念にはとらわれなかったので、なんとかふんばれたそうです。
結局、とりあえず通院はその2回だけ。
あとは、不安を強く感じるようになったらまた受けたいとのこと。
それでなおったわけではないでしょうが、この方の場合はまだ軽症だったのかもしれません。
パニック障害の施術
パニック発作は一種の条件反射によって起きます。条件反射というのは斜面に掘った溝に水を流しこむようなもので、あとは意識がどうあろうと勝手に 水=気持ち はその溝に従って流れていってしまいます。パニック発作もなんらかのスイッチが入ることによって自動的に不安がかきたてられるということになります
それもほとんど瞬時に起きてくるので 意識の上で食い止めようと思ってももうすでに起きてしまっています。
つまり乗り物に乗るのが怖いひとは、電車のホームに行くまでもなく、駅の姿を見ただけでそのスイッチが入ってしまうこともあるでしょう。
そして、食い止めなくちゃと焦ること自体が更なるパニック発作を起こすという悪循環におちいるのかもしれません。
こうした恐怖の条件反射を起こす心的メカニズム、つまり水の流れる溝を破壊してあげることが施術の主眼となります。
当院の施術ではそれのみをおこないます。
そして最終的には、脳内ホルモンのバランスの乱れを解消してあげればいいわけなので、施術自体の難度はそれほど高いとも感じません。
病院で処方してもらう薬と同じように、再度受けなければならないかもしれませんが、薬よりは自然な形なのでいいのではないかと自負しております。
ただ、パニック障害にはパニック発作がまた来たらどうしようと恐れおののく予期不安と、それが高じて自分が発作を起こした場所や状況そのものに恐怖感をもつようになる広場恐怖とが心の中に焼きつけられたかのようにこびりつき、その条件反射を呼ぶ心的メカニズム=溝は、一度の施術でいきなりゼロにまで消し去ることはできないようです。
上述のように、一度の施術でいっときよくなる方もいらっしゃいますが、寛解までは決して平たんな道のりではないと思われます。
しかし、施術のぐあいがはまりがよければ、障害が重い軽いとは関係なく 自力で治ってしまうようです。いくらかのふんばりは必要だとしても・・
もしぶり返すようなら、また受診すればいいので、受診するたびに不安や恐怖は薄くなっていくでしょう。ご自分が安心して社会生活を送れるようになるまで、気軽にくり返し受ければいいのです。
くり返し施術することで、そのつど根気よく頭の中の詰まりを解消し続けていくことがだいじだと考えております。
だいたいは二度三度とくり返し施術を受ければよくなるようです。一度の施術でよくなったように見えてもしばらくするとまた同じことが起きたりすることもあります。
多い方では数か月の間に5、6回お受けになりました。また、月にいちどは受けないと落ちつかないという方もいらっしゃって、ご希望に応じてメンテナンス施術のように続けたりもします。
ご自分でできるケアとしては、なるべく疲労をためないようにしたほうがいいようです。疲労物質である乳酸の濃度が高くなると発作を起こしやすくなるそうですから。
睡眠を十分にとる、積極的に気分転換を図るなどの方法で、発作を予防してください。
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